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円形なのに別の病気と診断された患者

2010年11月29日

脱毛症が起きたとき、それが円形脱毛症かそうでないかで治療法は異なります。

しかし、脱毛の状態から「円形脱毛症」ではないと診断されてしまう事もあります。

特に脱毛以外の他の症状がある場合です。


円形脱毛症は、皮膚の障害ではなく、皮下にある髪の毛を作る細胞自体が白血球に攻撃される事で起こります。

一般的には皮膚に障害は認められず、自覚症状無しに脱毛します。

ところが、皮膚炎、リンパ腺の炎症、発熱などがあると、円形脱毛ではなく、別の疾患の症状の一つとして脱毛が起きたのだろうと考える事も出来ます。



20代の男性患者は、病院で「性病による脱毛」の可能性が高いと診断され、総合病院への再診を案内されました。

しかし、本人に感染を疑うような記憶がなく、念のため、総合病院と当院との2カ所を受診しました。


実は「梅毒」の症状にも脱毛があります。

脱毛が起こるのは感染後やや進行してからです。脱毛が起こる前に必ず他の症状が起こります。全身の皮膚や口腔の粘膜などに発疹・炎症が起こります。

脱毛は、皮膚炎とともにあちこち虫食いのように「びまん性」に抜け、側頭部に小さな病巣が多発に生じたりします。


では、なぜ20代の男性患者は「性病の疑い」と診断されたのでしょう。

病巣が「びまん性」の虫食い状態のようであったことと、皮膚に多数の炎症が認められたからです。

さらに、脱毛の前に「発熱」があり、体調が悪い事もありました。


当院を受診した時には、「びまん性」からすでに「全頭型脱毛」に移行しつつありました。

その段階で恐らく「急性びまん性全頭型円形脱毛症」だろうと予測できます。

「梅毒」の場合は、皮膚障害による脱毛が主ですから、発症から1ヶ月という短期間に一気に全頭脱毛する事は考えられません。


頭部には確かに炎症が認められましたが、顔にも「ニキビ」があります。しかし、胸部/腹部/背部など全身には認められません。

頭部の炎症は、脂漏性皮膚炎によるものです。梅毒であれば全身に認められるはずです。

問診と血液検査から基礎疾患に喘息があり、アレルギーを見る好酸球・好塩基球の数値も高いことなどから

「円形脱毛症」として治療開始しました。


同じ脱毛症でも「円形脱毛症」と「梅毒」とでは、使用する薬剤がまったく異なります。

円形脱毛症ではステロイド処方が一般的ですが、「梅毒」は抗生剤です。


ほどなく、全頭型脱毛から白髪の産毛発毛が認められました。白髪で回復するのは円形脱毛症の特徴です。


ちなみに総合病院でも「円形脱毛症」と診断されました。



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Posted by ヘアクリニック新垣 at 08:00│Comments(0)毛根検査について
 
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